猫は、7回猫をやるという。

で、8回目に生まれ変わったときにヒトになる。(らしい。)

何かが通るだけでビビって逃げちゃうコや、すぐにシャー！ってやるコは大体１回目か2回目で、たまに車が動き出してもその下でグーグー寝てるようなふてぶてしいコが7回目。

5回目くらいだと人間の言うことは大体わかってるし、7回目にもなるとテレビを観て笑いを堪えたりするコもいるよ、という話をずいぶん昔一緒に住んでたヒトが教えてくれた。

すこやかは、猫何回目だろうか。

すこやかは鳥取保健所から来た保護猫だけど、今じゃウチの先住猫より態度とカラダと大便がでかい。

自分のトイレが汚れていると平気で先住猫のトイレをバンバン使うようなガサツな女だ。

鳥取から来る時はANAにも乗った。

LCCではない。あのANAだ。

保健所の獣医さんとのお別れのときは、目をキラキラさせて黄色い声でピーピー鳴いてたくせに、ANAのかわいい客室乗務員に声をかけてもらったときは、能面でしか見たことないような顔でスンとしていた。

私がホラー映画を観てたら寄ってくるとこまではよくあるけれど、お笑いとなると話は別で、私が虹の黄昏で大笑いしてるときは見向きもしなかったくせに、大仰天の漫才と牧野ステテコのコントの時は、前のめりにネタを観て、そのあと満足そうに伸びをした。

1回目ではなさそうだが。

ガサツでデリカシーのない、男の前だと態度が違い、お笑いの好みに偏りのある女。

こんな猫の生まれ変わりが、我々のまわりにも1人や2人はいるような、いないような。

最後まで読んでくれて今日は本当にありがとうございました。

舞草香澄

↓先住猫の場所をねらう、すこやか

2021.12